カーテンから差し込む穏やかな日差しに新一は目を覚ました。二人分の体温でホカホカの布団と頬を撫でる凛とした空気が心地良い。隣で眠る温もりに手を伸ばして髪を撫でてみるが、少し身じろいだだけで目を覚ます様子はなかった。
 いつもより寝覚めが悪い理由を自覚して罪悪感が湧くものの、それがまた幸せだったりするから困ったものだ。時計を見ると午前9時を少し回ったところ。どこかへ出掛けるにしても家でのんびり過ごすにしても一日を楽しむには充分な時間である。少し前に二人で観たいと話していた映画がそろそろ封切りになる頃だし、クリスマスの華やかな街をぶらつくのも悪くない。いや何だっていい、とにかく今日は彼女と一緒にいよう。
 「……もう少し寝かせといてやるか」
 健やかな寝息を立てている志保を腕の中に抱き込むと新一は彼女の柔らかな緋色の髪にそっと口付けた。



あとがき



 『pixivで活躍してみえる絵師様方とコラボ』というありがたい企画が立ち上がり、書かせて頂いた作品です。「三組でそれぞれ新志、新哀、コ哀コラボをしよう!」という事で私が「新志」担当になったのですが、しふぉんさんの柔らかくて甘い新志を目指すつもりがなぜか冒頭から喧嘩しています。「新一には簡単にいい思いをさせてやらないぞ」という私の深層心理の現れかもしれません。  とはいえせっかくのクリスマス、二人が過ごすミンスパイのような甘い時間はしふぉんさんの素敵な漫画でお楽しみ下さい。