コナンの姿が消えると哀は携帯を取り出し、一つの電話番号を呼び出した。
「……どうやら貴方の願いを叶えてあげる事は出来なくなっちゃったみたいね」
からかうような女の声に哀は苦笑すると、「そうね。私の対価はあなたが最初に寄越した患者を完全に治す事だったから」と肩をすくめる。
「工藤君が元の身体に戻ったという事はAPTX9684は解毒剤としては失敗作だって事?」
「さあ。彼が対価を渡す事を拒否した時点で薬の効果は切れたはずから」
「それにしても……人が悪いのね。最初の患者が彼だなんて」
「相手がどんな人物でもそれに相応しい薬を用意する……それが出来なくちゃウチの院外処方なんてお願い出来ないもの」
その言葉に哀は「……私もまだまだ甘いって事ね。いい勉強になったわ」と肩をすくめた。
「それじゃあ……」
「ええ、博士に世話になりっ放しなのは心苦しいけど……バイトは諦めて解毒剤開発に専念するしかないわね」
「頑張って」という言葉とともに通話が切れる。哀は携帯の電源を切るとフッと苦笑した。



あとがき



コナンにとって大切なモノは果たして何だろう? ふと思った事がきっかけで出来上がったテキストです。せっかくなので「xxx HOLiC」とのクロスにしてみました。非常に気を遣いましたが侑子さんを書くのは楽しかったです。ただこのテキスト、唯一の難点は私が「合法ドラッグ」を読んだ事ない点だったり@爆 おかしな点を見付けられた方はご一報頂けると幸いです。



戻ル