旋律という名の絆



街がクリスマスムード一色に染まる12月。工藤邸に帰宅した黒羽快斗はリビングに足を踏み入れた途端、目の前に現れた巨大なツリーに思わずその場に立ち尽くした。
「……元天下の大泥棒にしては隙だらけやなぁ、黒羽」
からかうような声に振り向くといつの間にかこの家のもう一人の居候、服部平次が快斗のすぐ後ろで面白そうに彼を見つめている。
「だってさぁ……いくらなんでも大きすぎない?」
「そらまあ……せやけどあの二人のやる事やからな。部屋に収まっただけ奇跡やっちゅうもんやないか?」
「なるほど、このツリーを選んだのは有希子さんって訳ね」
納得したように肩をすくめる快斗に平次が「あの人に世間一般の常識なんちゅうもんは期待出来へんからなぁ」と苦笑する。
「それより名探偵の姿が見当たらないけど……」
「工藤やったら宮野とコナン君連れて出掛けたで。クリスマスも近いし、プレゼント買いに行ったんちゃうか?」
「クリスマスプレゼントかぁ。俺もそろそろ用意しないと……イヴに近づくにつれ忙しくなるからなぁ……」
「マジシャンにとっては稼ぎ時やからな、しゃあないやろ」
「青子が理解してくれてるのは本当、有難いけどね。ま、その分しっかりプレゼントは要求されるけど。『今年はフサエ・ブランドのブレスレットよろしくね!』だってさ」
「なんや、一人ぼっちのクリスマスの代償にしてはえらい可愛いやないか」
「他人事だと思って……確かに値段はリーズナブルかもしれないけど限定品をゲットするのは結構大変なんだぜ?」
「限定品?そんなん工藤に頼みゃ簡単やんか」
「それはまぁそうなんだけど……名探偵に借りを作るのはどうも……ね。ところでそういう服部の今年のクリスマスは?」
「思いっきり直(宿直)にはまってもうたわ。ほんまついてないで」
「直かあ……ま、一緒に過ごす美人がいない寂しい男にとっては一番ましなクリスマスの過ごし方なんじゃないの?」
お返しだと言わんばかりにゲラゲラ笑う快斗に平次は「うるさいねん、アホ」と顔をしかめた。



「博士のプレゼントは買ったし、有希子さんに頼まれた化粧品も買ったし、後は……」
意味ありげな視線で自分を見つめる志保に新一は「……分かってるよ」と顔をしかめた。
久し振りに志保と二人、のんびり昼食でもと思っていた新一の出鼻を挫くように現れたのは例のごとく母、有希子と弟コナン。しかもコナンのクリスマスプレゼントを買って来いという厄介な指令付きである。
「買って来いって簡単に言うけどよぉ……プレゼントを貰う本人の前でそんなもん買える訳ねえだろ?」
「え?どうして?」
「『どうして?』って……今朝アイツが『今年はサンタさんに何をお願いしようかな?』って騒いでたのを母さんだって見てたじゃねえか」
「そういえばそんな事言ってたわね〜。サンタクロースを信じるなんて、コナンちゃん、生意気なくせに変なところ純粋なんだからv」
ウフッと微笑む母にこの指令は突き帰せると思ったのは新一の早合点だった。
「だったら途中で志保ちゃんとコナンちゃんを別行動させて新ちゃんが買って来てくれればいいでしょ?コナンちゃん、志保ちゃんの事大好きだから志保ちゃんさえ傍にいれば新ちゃんがいなくなってもあんまり気にしないと思うしv」
「……」
かくして志保、コナンとともに米花デパートまでやって来たものの、なぜか今日に限って自分の傍を離れようとしないコナンに溜息をつく事しか出来ない。
「とりあえず喫茶店にでも入って一休憩するか?」
「とりあえずって……」
厄介事を放り出すような新一の態度に抗議しようとした志保を遮ったのは携帯の着信音だった。
「メール…?研究室からだわ」
「珍しいな、お前のところまで連絡が来るなんて」
「緊急事態かしら?ごめんなさい、ちょっと電話してみるわ」
「んじゃオレ、コイツ連れてこの辺で待ってるからさ」
「志保お姉ちゃん、心配しなくても新一兄ちゃんの面倒はボクがみてるから」
「……って、面倒みるのはオレの方だろ!?」
「……」
早速始まる兄弟漫才を無視して志保が立ち去って行くと新一はコナンとともにレストスペースに腰を下ろした。いつの間に持って来たのかコナンが早速単行本を取り出すと一人読み耽る。その本の『踊る人形』というタイトルに新一は改めてプレゼントの事を思い出した。
(……そういえばコイツ、一体何が欲しいんだろうな?)
普段日本とアメリカに離れて暮らしている事もあり、実の兄弟といってもコナンの好みはあまり把握していない。志保が戻って来るまでの間に探りをいれるのも悪くないだろうと新一は「なあ」と小さな弟に話し掛けた。
「なあに?」
「オメー、今年はサンタさんに何をお願いするか決まったのか?」
ホームズの初版本か、はたまたストラディバリウスか、そんなところだろうと予測していた新一は「そうだなぁ……今年はお父さん、二冊しか新刊出さなかったし……」というコナンの言葉に「え?」と声を出しそうになった。そんな兄の様子にコナンが「やだなあ、お兄ちゃん。まさかボクがサンタクロースを信じてるとでも思ってるの?」と驚いたように目を丸くする。
「そりゃ……だってオメー、『今年はサンタさんに何をお願いしようかな?』って今朝騒いでたじゃねーか」
「あんなの演技に決まってるでしょ?信じてると思わせておいた方が確実にプレゼントを貰えるもん」
「確実って……」
「そんな事よりさっきからデパートをウロウロしてるけど……お兄ちゃん、お母さんにボクのクリスマスプレゼントを買って来いって命令されたんでしょ?」
子供らしからぬ冷静な分析に新一は否定するのもバカバカしくなり「まぁな」と肩をすくめた。その答えにコナンが「やっぱり……」と苦笑する。
「どうやらお兄ちゃんの傍を離れなかったのは正解だったみたいだね。志保お姉ちゃんならともかく、新一兄ちゃんのセンス、あてにならないもんなぁ」
「……」
さすがに自分はここまで冷めた子供ではなかったはずで、新一は「……オメー、ガキのくせに夢ねぇな」とコナンを見た。
「じゃあ聞くけど……お兄ちゃんはいつ頃までサンタクロースを信じてたの?」
「それは……」
新一自身サンタクロースを信じている幼馴染をバカにした記憶はあるものの、それがいつ頃の話だったのかまでは思い出せない。幼い弟に言い負かされたような状況に新一は憮然とした表情でコナンから視線を逸らせた。
(ま、ある意味楽になったと言えば楽になったか……?)
とにもかくにもこれで何とかプレゼントも買えるだろうとホッと息をついたその時、ポケットの中の携帯が鳴った。ディスプレイを見ると志保からのようだ。
「……どうやら時間が掛かるみてえだな」
開口一番そう呟くと「さすが探偵さん、鋭いわね」と電話の向こうで志保が苦笑する。
「悪いけどコナン君のプレゼント、あなたの方で適当に候補を選んでおいてくれないかしら?」
「構わないぜ。どうやら手の内はバレちまってるみてえだし……」
「え…?」
「とにかくこっちの事は心配すんな」
「ありがとう、後でまた連絡するわ」
「……志保お姉ちゃん、お仕事だって?」
新一と志保の電話を横で聞いていたコナンが会話の内容を察したのか視線を本から兄に向けた。
「ああ、しばらく掛かるみてえだな」
「そっか……ねえ、お兄ちゃん、男同士っていうのも情けないけどさ、もうすぐツリーのライトアップが始まるみたいだよ。見に行こっか?」
「……」
本来誘うのは兄である自分だろうと思いつつ新一はコナンとともにちょうどやって来たエレベーターに乗り込んだ。



さすがに米花町一という謳い文句だけあり米花デパート正面に飾られたクリスマスツリーは本物のモミの木を使用した本格的なものだった。
「おい、コナン、肩車してやろっか?」
小さな弟が息苦しそうにしている様子に声を掛けた新一はその視線がすぐ傍に立っている少女に向っている事に気付いた。ハーフなのだろうか、柔らかい栗色の髪、透き通るような白い肌、スラリとした手足がどこか志保を思わせる。
こんな場所でこんな時間、幼い少女が一人でいる事に不審を抱き、新一が話し掛けようとしたその一瞬先「君もここのツリーを見に来たの?」とコナンが口を開いた。
(……ったく、好奇心ばっかり一人前でよぉ……)
思わず毒づいてしまうものの、ここは同年代の弟に任せるのも一つの手だろう。新一はコナンに悟られないよう、さりげなく二人の会話に聞き耳を立てた。
「見に来たって言うか……あのステージでママがもうすぐミニコンサートやるの」
「コンサート?」
「私のママ、歌手なの。だから……」
「へえ、そうなんだ。ボク、音楽大好きだから楽しみだな」
間もなくデパート正面が青いイルミネーションに包まれ特設ステージに一人の女性が現れた。腰まであるソバージュの髪、折れそうな細い身体、そして何よりそのどこか緑色がかった瞳が印象的である。
「こんにちは。九野木(くのぎ)啓子です。今日は私のミニコンサートに集まって頂きありがとうございます」
瞳の色が同じ事からおそらくこの女性が少女の母親なのだろう。
(それにしても九野木啓子って名前、どっかで……?)
音楽に疎い自分がなぜ知っているのかと首を傾げた新一だったがその理由はすぐに明らかになった。コンサート進行役の口から彼女の歌が今年の米花デパートのクリスマスイメージソングに起用されている事が説明されたからだ。さすがに普段ロスで暮らしているコナンにはピンと来ないらしく、「そんなに人気があるCMなの?」と新一を見る。
「ま、起用されてその後ヒット曲が続けばビッグネームの仲間入りが約束されたようなもんだな」
「ふうん」
間もなくピアノ、バイオリン、チェロの生演奏をバックに啓子が歌いだした。低いアルトの声が心地いい。
「……きれいな曲だね。歌も素敵だし」
コナンの笑顔に少女が険しい表情になると「……私、ママが作る曲もママの歌も嫌い」と口を尖らせた。
「どうして?」
「だって……もしママが昔、歌手になる夢を捨ててくれてたら……」
初対面の相手にそれ以上言う必要はないと判断したのだろう。少女は言葉を切ると「あ、私の名前、愛良っていうの。九野木愛良(あいら)」と話題を変えた。
「愛良ちゃんかぁ。ボク、工藤コナン。よろしくね」
「コナン君、小学校何年生?」
「日本の小学校で言えば一年生かな?ボク、普段はアメリカで暮らしてるから」
「ふうん」
「愛良ちゃんは?」
「私、二年生。コナン君より一つ年上だね」
「お兄ちゃん達と同じかぁ……偶然だな」
「え…?」
「あ、ううん、何でもない」
「ね、コナン君はサンタさんに何が欲しいってお願いしたの?」
さすがに同年代の少女相手に「サンタクロースなんていないよ」と冷めた答えを返すのも憚られたのか、コナンが「実はまだ決めてなくて……」と言葉を濁す。
「愛良ちゃんは何が欲しいの?」
「私が欲しいものはね……」
少女の言葉を遮ったのはデパート正面で美しい歌声に聴き惚れていた観衆の拍手と歓声だった。ミニコンサートというだけあり、どうやら九野木啓子が歌ったのは例の話題曲とスタンダードナンバーの2曲だけだったようである。観客に笑顔で応えつつ啓子が舞台を去ると、ほどなくして愛良の携帯が鳴った。
「……ママ?うん、今、デパートの前。10分後に地下の駐車場だね。分かった」
愛良はコナンに「じゃあね」と手を振るとアッという間に人混みの中に姿を消してしまった。



「……そう、そんな事があったの」
夕飯の支度をする志保の横でコナンは彼女と別れた後の出来事を話した。
「それで?コナン君がそんなに寂しそうな顔をしている理由は何?」
「え…?」
「その愛良ちゃんっていう女の子との会話を通して何か思う事があったんでしょう?」
優しく微笑む志保にコナンはコクンと頷くと、「愛良ちゃん、『ママが作る曲もママの歌も嫌い』って言ってたんだ」と呟いた。
「どうしてそんな事を言うのか気になるのね?」
「うん。お母さんの歌が嫌いだなんてなんか可哀想で……」
コナンの言葉に志保は「……どうやら工藤家の探偵気質はコナン君にもしっかり遺伝してるようね」と、ダイニングテーブルに座る新一を見た。
「……つーか、今回の場合、探偵気質とかそういう問題じゃねえと思うんだけど……」
新一は椅子から立ち上がると「コナン、オメー、あの子に惚れたんじゃねえか?」と、からかうような視線を弟に投げた。
「な…!」
「照れるなよ。オメーの年で初恋を経験するのはおかしくねえし。服部や黒羽には秘密にしておいてやっからさ」
得意げに言う新一にコナンが小さな溜息をつくと「……本当、お兄ちゃんって志保お姉ちゃん以外の恋愛事に関してはダメダメだね」と呆れたように両手を広げる。
「どういう意味だよ?」
「だって……ボクの初恋の人は……」
その時、コナンの言葉を遮るように工藤邸の玄関のチャイムが鳴った。工藤邸は現在、新一の探偵事務所が改修中のため臨時の事務所となっている。そのためチャイムだけではやって来た人物が単純な来客か依頼人か判断がつかず、応対に出るのはもっぱら新一の役目となっていた。
「はい」
玄関を開けると四十代前半と思われる身なりのいい男性が立っている。
「あの……こちら、有名な探偵事務所と伺って来たのですが……」
「あ、はい。所長の工藤と申します」
「お願いしたい事があって参りました。私、こういう者です」
男が懐からパスケースを取り出すと名刺を新一に差し出す。そこには『ウィーンフィルハーモニー常任指揮者 小澤良輔』と書かれていた。
「立ち話も何ですし……どうぞ」
新一が家の中へと促すと小澤は「失礼します」と頭を下げ、おずおずとした様子で玄関へと足を踏み入れて来た。



「実は人を探して頂きたくて……」
志保がコーヒーを出し、応接室を後にすると小澤が早速口を開いた。
「人探しですか……」
普段、殺人、誘拐、強盗といった凶悪事件しか扱っていない新一としては少々肩透かしを食らった気分だったが、まさか「そんな単純な仕事は受けておりません」などと一蹴する訳にもいかず、「とりあえず事情を聞かせて頂けませんか?」と、愛用のペンとメモ帳を取り出し、話の先を促した。
「実はこの度、ウィーンフィルを退団して日本へ戻って来る事にしまして、それで是非彼女に再会したいと……何箇所か探偵事務所を回ったのですが、どこも手がかりが少なすぎて無理だと受けて下さらなかったんです。さすがに諦めかけていたところ、バイオリニストの設楽蓮希さんがあなたを紹介して下さいましてね。藁にもすがる思いでここへ参りました」
小澤の台詞に新一は内心溜息をつくと「そうですか、設楽さんが……」と呟いた。探偵という仕事も客相手の商売である以上、誰かからの紹介、しかもそれが以前の事件関係者だった場合無視する事も出来ない。
「それで?その方は一体どういう方なんですか?」
「実は十年ほど前、偶然知り合った女性でして……」
「その方のお名前は?年齢は?どこにお勤めしていたか分かりますか?」
「それが……仕事で二、三回ご一緒しただけの方なので詳しい事は……」
「どんな仕事でご一緒されたか覚えてみえませんか?」
「さあ……当時は食べるためにクラシック以外の仕事もやっていましたし、アルバイトでレコード会社でも働いていましたので……」
「写真はないんですか?お仕事で一緒だったならスタッフが集って記念に撮った写真があるのでは?」
「確かに数枚ありましたが、実は三年前、ウィーンの自宅が隣家の火災に巻き込まれまして、その時すべて燃えてしまったんです」
「……」
「さすがにこれだけの情報ではいくら何でも無理ですよ」……そう答えようと口を開きかけた新一はリビングから流れて来たバイオリンの音色に思わず舌打ちした。おそらくコナンが依頼人が帰るのを待ちきれず練習を始めてしまったのだろう。改修中の探偵事務所と違い、防音設備がそれほどしっかりしていない工藤邸において、その音は新一と依頼人の会話を邪魔するには充分だった。
「す、すみません、すぐ止めるように言って来ますので……」
慌てて立ち上がった新一の腕をいきなり「待って下さい!」と小澤が掴む。
「工藤さん、このメロディーを弾いている方に会わせて頂けませんか?」
「は…?」



リビングのドアを開けた瞬間、そこにいた人物に新一は目を丸くした。
「黒羽…?」
「あれ?名探偵、仕事中だったんじゃないの?」
「あ、ああ、そうなんだけどよ……」
「ごめんなさいね」
新一の抗議の声を先回りするように志保が口を開く。
「コナン君には依頼人がみえているから後で聴かせてくれればいいって言ったんだけど……」
「だって快斗兄ちゃんが『聴かせて』って言うんだもん」
「く〜ろ〜ば〜」
掴みかからんばかりの新一を無視するように快斗がアハハと笑ってみせると「コナン君が米花デパートのミニコンサートで素敵な曲を聴いたって言うからさ。俺は忘れ物を取りに戻っただけだし、だったら今聴かせてよって話になったって訳」と悪びれもなく事の経緯を説明してくれる。そんな悪友に思わず溜息をついた新一は、次の瞬間、ある事実に気付き思わずコナンの方に振り返った。
「コナン、オメー、あの曲を聴いたのはあの時が初めてだったんじゃ……?」
「あれくらいの曲なら一度聴けば大体覚えられるよ」
「……」
音を聴き取る能力はそこそこあるものの同じ親から生まれたのにこの才能の差は何だろう?思わず頭を抱えた新一は「さっきのバイオリンは君が弾いていたのかい?」という声に「あ、こちらは依頼人だ」と慌てて三人に小澤を紹介した。
「うん」
「見事な腕前だ。君なら将来、国際的に活躍するバイオリニストになるのも夢じゃないだろう」
「あ…でも、ボク、他に夢が……」
否定の言葉を重ねかけたコナンが「あれ?おじさんウィーンフィルの……?」と驚いたように目を見開く。
「ああ。小澤良輔だよ。私の事まで知っているとは……君は相当音楽が好きなんだね」
小澤の言葉にコナンは「うん!」と頷くと「それにしても……まさか『世界の小澤』に会えるなんて!!」とキラキラ目を輝かせた。そんな弟の様子に新一は「……そんなに有名な人物なのか?」と志保と快斗に耳打ちする。
「そんなに有名って……あなた、まさか知らないの?」
「クラシックとは縁がないこの俺でも知ってるけど?」
「……」
これ以上この話題を続けるのは墓穴を掘るだけだと判断した新一は「それで小澤さん、弟が弾いていたメロディーが何か?」と、コナンと小澤の方に振り返った。
「そっくりなんです。私が探している女性が昔聴かせてくれたメロディーに……」
「なるほど。しかし、似たようなメロディーを書く人間は他にもいるでしょう?」
「それは…そうですが……」
「調べてみる価値あるんじゃない?」
言葉を飲み込みかけた小澤に助け船を出すように口を開いたのはコナンだった。
「クラシックの曲ってメロディーを聴けば大体作曲者が分かるんだけどそれってポップスにも当てはまるんじゃないかな?」
「オメーな、簡単に言うけどよぉ……」
「それとも平成のホームズは人一人探し出す自信もない訳?」
「……」
どうやら自分の負けず嫌いな性格は知り尽くされているらしい。新一は苦虫を噛み潰したような表情でコナンを睨むと「……分かったよ。調べてみればいいんだろ?」と頬を膨らませた。
「ありがとうございます…!」
嬉しそうに頭を下げる小澤と自分をニヤニヤ笑って見つめているコナンに新一は思わず溜息をついた。



コナンの話によると件のメロディーは今日、米花デパート正面で行われたミニコンサートで聴いた曲との事だった。音楽に詳しいコナンならその曲がスタンダードナンバーなら曲名を挙げるはずで、自然、デパートのクリスマスイメージソングという結論に達する事になる。曲さえ分かれば詳細を調べるのは簡単だろうとインターネットで米花デパートのサイトを覗いた新一だったが、なぜかイメージソングの詳細は載っていなかった。
「仕方ねえ、直接当たるか」
新一は携帯を取り出すと、かつて米花デパートで起こった殺人事件を解決した際、顔見知りになった広報部の佐々木という人物へ電話をかけた。
「米花デパートですか?工藤新一と申しますが広報部の佐々木さんをお願いします」
「申し訳ありません。あいにく佐々木はただ今出張中でして……」
「そうですか……」
出足から躓いた調査に新一が舌打ちしたその時、電話の相手が「工藤さん、明日でよろしければ部長の門脇がお話を伺うと申しておりますが……」と呟いた。広報部長ならすべてを把握しているはずで、願ってもいない展開に新一の口許が緩む。
「……分かりました。それでは何時にお伺いすればよろしいですか?」
「11時に7階喫茶『カフェ・ラ・ジュノ』までお越し下さい。門脇がお迎えにあがります」
「分かりました」
新一は通話を切ると手帳に時間と場所をメモした。



翌日午前11時。指定されたカフェでコーヒーを飲んでいた新一に一人の男が近付いて来た。
「……失礼ですが、探偵の工藤新一さんですか?」
「はい」
「はじめまして、広報部長の門脇と申します」
スマートな仕草で名刺を差し出す門脇に新一も慌てて手帳に挟んであった名刺を差し出す。
「それでは応接室へご案内致しますので……」
「あ……別に人目を気にするような話でもないんですが……」
新一の言葉を意外に思ったのか、門脇が「……といいますと?」と目を丸くすると正面の椅子に腰を下ろした。
「昨日、このデパートの正面でミニコンサートがありましたよね?」
「はい」
「今日伺ったのはあのコンサートで演奏されたこのデパートのクリスマスイメージソングについて詳しい事が知りたかったからなんです。貴社のホームページを拝見しても曲名と1番の歌詞しか載っていなかったものですから……」
「元々我が社はCM等に歌手名や曲名のテロップは入れませんからね。今回はあまりに問い合わせが多かったので途中から九野木さんのお名前を入れましたが……」
「確かに綺麗なメロディですからね。問い合わせたくなる気持ちも分かるような気がします。ところであの曲なんですが……作曲はどなたが?」
「九野木さんご本人です」
「そうですか……門脇さん、お願いがあるんですが」
「何でしょう?」
「九野木さんの連絡先を教えて頂けませんか?」
「連絡先と申しましても……九野木さんが所属している『ウィンディプロモーション』という芸能プロダクションの電話番号とメールアドレスくらいしか分かりかねますが……」
門脇は顔を青くすると「あの…彼女が何か……?」と、恐る恐るといった表情で新一を見た。自社のイメージソングを歌っている歌手に何かスキャンダルでもあったら大変だと焦っているのだろう。新一は慌てて頭を振ると「その……実は僕の弟が彼女のファンでして、クリスマスにコンサートがあったら行きたいと駄々をこねるものですから」と、適当に話をはぐらかした。幸い門脇は新一の話を頭から信じてくれたようで、「そういう事でしたら……」と、手帳から一枚のメモを取り出す。
「こちらが九野木さんの連絡先です」
「ありがとうございます。それでは僕はこれで」
門脇に頭を下げると新一はカフェを出てエレベーターに乗り込んだ。
地下2階の駐車場へ到着し、止めてあった愛車の鍵を開けようとした瞬間「……誰が駄々をこねてるって?」という低い声にビクッと動きを止める。
「コナン、オメーどうして…!?」
「これを使ったに決まってるでしょ?」
コナンがその手に持っていたのは新一が『江戸川コナン』だった当時、使用していた追跡眼鏡だった。慌てて靴底を見るといつの間にか発信器と盗聴器が取り付けられている。かつて自分も散々同じ事をしていたとはいえ、仕掛けられた側となると決して面白いものではなく、新一は「遊びじゃねえんだ。帰れ」と、コナンの手から眼鏡を取り上げた。そんな兄の態度にコナンが「ふうん……」と、意味ありげな視線を投げて来る。
「お兄ちゃん、幼い弟をたった一人ぼっちの家に帰らせるつもり?」
「一人ぼっちって……志保は?」
「志保お姉ちゃんならいないよ。平次兄ちゃんに遊びに連れてってもらうって嘘ついたら『だったらコナン君の事は服部君にお任せして私は昨日の仕事の続きをして来ようかしら?』って言ってたもん」
「……」
どうやら先手を打たれたらしく新一は思わず車の屋根に頭を突っ伏した。
「ねえ、連れてってよ。お兄ちゃんの足は引っ張らないって約束するから」
どうやら気になる事は最後まで調べないと気が済まないのは自分と同じようで、新一は観念するように肩をすくめると「……乗れよ」と助手席を顎で示した。
「え…?」
「まずはこの『ウィンディプロモーション』って芸能プロダクションへ行ってみようぜ」
「うん!」



『ウィンディプロモーション』へ電話しても全く繋がらず、仕方なく高木警部補の協力で住所を調べてもらい、そこへ辿り着いた新一とコナンは思わず我が目を疑った。
「おい、ここに間違いねえよな?」
「『高木警部補の情報が間違ってなければ』という条件付きだけどね」
二人の目の前に建っていたのは独立したビルでもオフィスビルでもなくどう見ても普通のマンションだったのである。
ここでボーっと突っ立っていても仕方ない。マンションに入り郵便受けにある名前を確認すると、問題の802号室には確かに『九野木』という名字が書かれていた。
「……とりあえず行ってみるしかねえな」
新一はコナンを伴いエレベーターに乗り込んだ。
8階に到着し、802号室の玄関の呼び鈴を鳴らすとチェーンロックを掛けたまま一人の女性が顔を出した。昨日、特設ステージで歌っていた人物と同一人物とは思えない地味な姿に一瞬部屋を間違えたかと焦ったものの、「何か…?」という聞き覚えのある低いアルトの声にホッと胸を撫で下ろす。
「九野木啓子さんですね?探偵の工藤新一と申します。実は『ウィンディプロモーション』という芸能プロダクションを探していたらこちらへ辿り着きまして……」
新一の言葉に啓子が「芸能プロダクション……そんな大層なものじゃなくてよ」と苦笑する。
「個人で歌いたい所で好き勝手に歌ってるだけ……今回、たまたま米花デパートのクリスマスイメージソングに起用されて少し注目されたけど、普段はバーで歌ったり、レコード会社の依頼を受けて仮歌を歌ったりして生活してるわ」
「つまり『ウィンディプロモーション』とは個人経営の芸能プロダクションなんですね?」
「そういう事」
啓子は気だるげに答えると「……それで?世間で名探偵と名高い工藤新一さんが私に一体何の用かしら?」と、持っていたタバコに火を点けた。
「実は人探しの依頼がありまして……」
「人探し…?」
「ええ、あなたが昨日歌っていたメロディーをこの僕の弟がバイオリンで弾いていたところその曲を作った人の事を調べて欲しいとおっしゃる方がいまして。米花デパートの広報部長にも確認を取りましたが、あの曲、あなたが作曲されたんですよね?」
「そうよ。作曲家に依頼するお金なんてないもの」
「それではお尋ねしますが……小澤良輔という人物をご存知ですか?」
「小澤…良輔……?」
啓子の眉がピクッと動く。が、次の瞬間、彼女は再び元の気だるげな表情に戻ると「日本人初のウィーンフィル常任指揮者だもの。名前くらい知ってるわ。でも私、クラシックなんて縁がないし」と、興味なさそうに呟いた。
「面識はないと?」
「ええ」
この女は嘘をついている……新一の探偵の勘がそう告げていた。が、同時にどう攻めてもそう簡単に真実を話してくれないだろうとも予測がつく。ここはこの九野木啓子という人物の事をもっと調べてから策を練って出直すべきだろう。
「そうですか。お時間を取らせて申し訳ありませんでした」
新一はペコリと頭を下げると「ちょ、ちょっと、お兄ちゃん…!」と、抗議するようにジャケットを引っ張るコナンの腕を強引に掴み、その場を後にした。



「あの人、絶対嘘ついてるよ!」
マンション入口近くに停めてあった愛車に乗り込むや否やコナンが大声で叫ぶ。
「ああ、だろうな」
「だろうなって……だったらどうして…!?」
新一は納得いかないと言わんばかりに喚く小さな弟を制するようにその肩をポンッと叩くと「いいか、探偵ってのは直球ばかりじゃ務まらねえんだ。時には変化球の方が効果がある。オメーも探偵になりたいならそれくらい常識として覚えとけ」と、コナンの瞳を真っ直ぐ見つめた。その真剣な表情にコナンが驚いたように目を丸くする。
「あれ?ボク、お兄ちゃんに『探偵になりたい』なんて言ったっけ…?」
「オメー、世界の小澤に『将来、国際的に活躍するバイオリニストになるのも夢じゃない』って言われたくせに『他に夢がある』って即答しただろ?」
「でもそれが探偵とは限らないんじゃ……」
「バーロー、オレはこれでもオメーの兄貴だぜ?オメーの考えてる事くらいお見通しさ」
「……」
新一の言葉にしばし拗ねたように口を噤んでいたコナンだったが、やがて小さく肩をすくめると「……それじゃ聞くけど、お兄ちゃん、ボクの初恋の人が誰だか分かる?」と試すような口調で呟いた。
「そうだな、あの九野木愛良って子じゃないとすれば……ロスのスクールで知り合った女の子ってところか?」
自信たっぷりに答える新一にコナンはハァと大きな溜息をつくと「……本当、お兄ちゃんって恋愛関係は全くダメなんだね」と肩を落とした。



それから約一週間が過ぎ、新一の調査も多方面に及んだものの、結局九野木啓子以外の名前が捜査線上に浮かんで来る事はなかった。しかし、厄介な事に小澤と一緒に仕事をしていた当時、九野木啓子は芸名を使っていたらしく物的証拠と言える物が何も得られなかった。写真もあるにはあったものの『他人のそら似』と突っぱねられればそれまでである。
「小澤さんに会いたくない理由でもあるのかなぁ?」
コナンが若い頃の二人の仲良さそうな写真を手に首を傾げる。
「酷いフラれ方をしたってんなら分からなくもねえけど、そんな話も出て来ねえし…それに……」
「それに……何?」
「あの愛良って子、小澤氏と彼女の間に生まれた娘だろ?」
「え?そうなの?」
「小澤良輔の『良』の字が入ってるし口許がそっくりだ。間違いねえよ。おそらく小澤氏は愛良ちゃんの存在を知らなかったんだろう。それが何らかの事情で自分と彼女の間に娘が生まれている事を知った。だから日本へ帰って来る決意をしたんだ」
新一は大きく息をつくと「……あの子が母親の歌を嫌う理由が分かったな」と、溜息混じりに呟いた。
「どういう事?」
「おそらく九野木啓子はかつて小澤氏に一緒にウィーンへ来て欲しいと言われたんだろう。しかし彼女は歌を取った。だから……」
「だから愛良ちゃん、『ママが作る曲もママの歌も嫌い』って……」
「ああ」
「お兄ちゃん、何とかならないの?小澤さん、日本へ帰って来るんでしょ?愛良ちゃんのお母さんが小澤さんを嫌っているなら仕方ないけど、そんな事ないみたいだし……」
「なぜなんだろうな?なぜ九野木啓子は小澤氏を拒否するのか……その謎が解ければ……」
「……」
「……私、啓子さんの気持ち、分かるような気がするわ」
ふいに聞こえた声に驚いてその方向を見るといつの間にか志保がコーヒーとオレンジジュースを載せたトレーを手に立っている。
「本当!?志保お姉ちゃん」
「何となくだけど……ね」
志保が寂しげに微笑むとコナンの頭を優しく撫でる。その表情に新一はハッとなった。
(もしかして…!)



「また来たの?」
九野木啓子は新一の顔を見るや否や明らかに迷惑そうに眉をしかめた。
「失礼だとは思いましたが、あなたの事を色々調べさせて頂きました」
「そう……」
「結論から言います。あなたと小澤良輔氏はかなり親密な間柄だった……違いますか?」
真正面から自分の意見を突きつける新一に啓子はしばらく黙っていたが、「勝手にそんな結論を出されても……」とさっさとドアを閉めようとする。新一は力ずくでそれを阻止すると「あなたが小澤氏を拒否するのは彼に自分が相応しい人間ではないと思っているからだ!」と叫んだ。その瞬間、「どうしてそれを…?」と啓子が驚いたように目を見開く。
「あなたと同じだったんですよ。僕の一番大切な人もね」
「……」
「かつて僕が彼女に自分の気持ちを伝えた時、彼女は僕を拒否したんです。『私はあなたに相応しい女じゃない』と。自分の本音を隠して……」
「……」
「その時の事を思い出して分かったんです。あなたの本当の想いが」
淡々と自分の過去を語る新一に啓子は初めて穏やかな表情を見せると「……バレちゃったなら仕方ないわね」と苦笑した。
「探偵さん、あなたの言う通りよ。私は彼を知っている。そして……未だに愛してるわ」
「愛良ちゃんのお父さんは小澤氏ですね?」
「そこまで気付いてたの……」
「小澤氏が日本へ帰って来る事にしたのはあなただけでなく愛良ちゃんのためでもあるんでしょう。あなたにもそれは分かっているはずです。愛良ちゃんだって父親と一緒に暮らしたがっています。あなたも彼を愛しているなら拒否する必要はないと思いますが?」
新一の言葉に啓子は遠くを見るような目になると、「もう一つ……理由があるのよ」と、絞り出すように呟いた。
「知り合いから聞いたんだけど……彼、ベルリンフィルの誘いを蹴って日本へ帰って来る事にしたらしいの」
「そんな話が……」
さすがの新一もベルリンフィルと言えばオーケストラの最高峰だという事くらい知っている。その事実にどれほど啓子が小澤を愛しているか改めて思い知らされた。
「小澤よ…世界の小澤良輔よ!その彼が日本のオーケストラに納まるなんて……許されると思う!?」
感情が高ぶり、緊張の糸が切れてしまったかのように泣き出す啓子に新一は「そんな事……関係ありませんよ」と微笑んだ。
「え…?」
「確かに小澤氏は世界を舞台に活躍する器を持った人物です。でも彼はあなたや愛良ちゃんと一緒に暮らす事を選んだ。九野木さん、小澤氏にとってあなた達二人の存在は音楽と同じくらい……いや、きっとそれ以上に大切なんですよ」
「どうしてあなたにそんな事が断言出来るのよ?他人事だと思って無責任な事言わないで…!」
「僕にとっても彼女が大切だからですよ。探偵の仕事以上にね」
きっぱりと言い切る新一に啓子はしばし返す言葉を失った様子だったが、やがてフッと息をつくと「本当……男って莫迦な生き物よね」と肩をすくめた。
「それにしても……ずっと封印してた曲が彼と私を再び巡り合わせるなんて……皮肉よね」
「封印していた曲?」
「あの曲……昔、彼を想って書いたメロディーなの。大切な思い出としてずっと発表していなかったんだけど、私自身気に入ってた曲だったし……そろそろいいかなと思って米花デパートにデモテープを送ったの。でも、それがこんな結果になるなんて……彼にあの曲を聴かせたのはたった一回だけだったのに……」
「それだけあのメロディーに小澤氏を想うあなたの気持ちが込められていたんでしょう」
「……」
「九野木さん、小澤氏に会って頂けますね?」
新一の問いに啓子は黙って頷いた。



「一件落着だな」
クリスマスイヴの夜。米花デパート正面に飾られたクリスマスツリーの前で再会する小澤良輔と九野木啓子、愛良親子を遠巻きに見つめながら新一は呟いた。
「愛良ちゃん、嬉しそう」
コナンがニッコリ笑うと「それはそうと……今回はボクとお兄ちゃん、どっちの手柄かなぁ?」と志保を見る。
「あのメロディーを覚えてて弾いてたボク?それとも愛良ちゃんのお母さんの本音を見抜いたお兄ちゃん?」
「そうね……今回は二人のお手柄だったんじゃないかしら?」
志保の答えに「『二人の』かぁ……」と不満そうに頬を膨らませたコナンだったが、ふいにこちらへ駆けて来る愛良の姿に慌てて笑顔を取り繕った。一方の愛良は満面に笑顔を浮かべ嬉しさを隠しきれない様子である。
「コナン君、お父さんから聞いたよ!私にとってのサンタさんはコナン君とコナン君のお兄さんだって!」
「ボクとボクのお兄ちゃんがサンタさんって……どういう事?」
「私が一番欲しかったものはね、パパとママと私、三人一緒に仲良く暮らせる毎日だったの!」
愛良はそれだけ言うと「じゃあね!」と両親の元へ戻って行った。その様子をしばし黙って見つめていたコナンが「……ねえ、お兄ちゃん」と新一の方に振り返る。
「何だよ?」
「その……サンタクロースを信じるのも悪くないかもね」
照れくさそうに呟く小さな弟に新一は「……ああ」と思わず苦笑した。



後日。新一、志保、コナンがお礼として招待されたコンサート会場で新たな事件に遭遇した事は皆さんご想像の通りである。



あとがき



本当に忘れた頃にやって来た弟コナン君シリーズ第5弾作品です。実は昨年のクリスマス用に書き出したのですが、その時はネタに詰まり、兄弟漫才だけ書いてお蔵入りになっていたという@爆  その後、一気にプロットが降って来て今回やっと完成させる事が出来ました。
ところでコナン君の初恋の人は誰なのか?皆さんはお分かりですよね^^)