「解毒剤が完成したわ」


 その日、江戸川コナンは黒ずくめの組織を壊滅させて以来、ずっと地下の研究室に籠って研究を続けていた灰原哀からそう連絡を受け、阿笠邸に向かっていた。
 完成した解毒剤をどうするか結論は既に出ている。自分が自分らしくあるためには何が必要なのか――己の心に問いかけ、導き出した答えに迷いはなかった。
 阿笠邸の広い庭を抜け、玄関へと辿り着く。このドアを開けたら自分には果たしてどんな未来が待っているのだろう……?
 一瞬の躊躇いの後、コナンはドアを開けるといつものように哀の名を呼び、来訪を告げた。



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